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遺産分割協議書に相続人一名だけの署名・押印でもよい?

 遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりませんが、遺産分割協議書

は、必ずしも1通の遺産分割協議書に相続人全員が署名・捺印する必要はあり

ません。

 遺産分割協議書の書式には、以下のような方式があります。

 

《遺産分割協議書の書式》

1.全員1通方式

 1通の遺産分割協議書に相続人全員が署名・捺印するもの

2.複数方式

 遺産分割協議書が複数になる方式です。例えば、相続人が3名(A、B、C)

いて、1通の遺産分割協議書にAが、もう1通の遺産分割協議書にB、Cが署名

・捺印する方式です。相続人1名ごとに遺産分割協議書を作成する場合もこち

に分類できますが、複数方式の場合はほぼこちらです。(1名1通方式) 

「遺産分割協議証明書」とも呼ばれます。

《複数方式(1名1通方式)のメリット》

 全員1通方式だと、相続人間を回送している間に起こりうる遺産分割協議書の

汚損、破損、紛失リスクを低減できます。(相続人全員が一堂に会する場合はこ

のようなリスクは少ないですが)

 

《複数方式(1名1通方式)のデメリット》

相続人の数だけ作成する場合は、遺産分割協議書の作成枚数が嵩む

 

《複数方式(1名1通方式)の留意点》

①遺産分割協議書の内容は全く同一でなければいけません。

②遺産分割協議が成立した日は同一でなければいけません。上記サンプルの書式

・体裁では、相続人の署名・捺印日が遺産分割協議の成立日となるため、これが

同一である必要があります。

 ただし、本文中に遺産分割協議の成立日を別途記載する場合は、相続人の署名

・捺印日が同一である必要はありません。

③相続人全員の署名・捺印が揃って、はじめて遺産分割協議書として取り扱われ

ます。登記や銀行手続には、相続人全員分が揃っている必要があります。

 

 以上、ご参考になれば幸いです。