[遺留分とは]
遺留分とは、残された相続人の生活保障、公平の理念などから、民法上相続人
に最低限確保されている相続財産の取り分(割合)です。ただし、兄弟姉妹が
相続人となる場合は、遺留分はありません。
遺言があるときに問題になることがありますが、遺言がなくても生前贈与があ
る場合は遺留分の侵害が問題となることがあります。
[遺留分の割合]
遺留分は、民法上以下のように定められています。
(1)直系尊属のみが相続人の場合 ・・・遺産の1/3
あまり多くないケースですが、例えば、両親が相続人の場合に、母親に全財産
を相続させる旨遺言をしても、親には1/6(1/3×1/2(法定相続分))の遺留分
があります。
(2)上記(1)以外の場合・・・・・・・遺産の1/2
例えば、配偶者と子が相続人の場合に、配偶者に全財産を相続させる旨遺言し
ても、子には1/4(1/2×1/2(法定相続分))の遺留分があります。
[遺留分を算定するための財産の価額]
遺留分算定の基礎となる財産の価額は、次の算式によります。
相続開始時の財産価額 + 贈与額(原則1年以内の贈与のみ) - 債務額
例えば、相続財産が3,000万円、贈与額2,000万円、債務額200万円の場合、実
質財産は2,800万円(3,000万円-200万円)ですが、遺留分算定基礎となる財
産額は4,800万円(3,000万円+2,000万円-200万円)となります。
[遺留分侵害額の請求]
遺留分権利者は、遺留分侵害者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を
請求することができます。
遺留分侵害額の計算については、ここでは省略しますが、遺留分が問題となる
ということは、相続人間に紛争が生じているということになります。
せっかく遺言をするのであれば、相続開始後のトラブルを避けるため、是非遺
留分に配慮した遺言を作成したいものです。
[遺留分侵害額請求権の期間の制限]
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する
贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によっ
て消滅します。相続開始の時から10年を経過したときも、同様です。
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