最近、テレビや新聞で取り上げられることの多くなった死後事務委任契約につ
いて説明します。
《死後事務委任契約とは》
契約に基づいて、死後の事務を行う契約です。身寄りのない高齢者、いわゆる
おひとり様の増加もあって、司法書士・行政書士などの士業の他にも葬儀業者
、各種団体など様々な業者が参入しています。
《事務内容》
死後事務の内容は、契約によって決まりますが、以下のようなものです。
①役所への死亡届の提出
②火葬・埋葬、葬儀に関する手続き
③勤務先企業・機関の退職手続き
④住居引渡しまでの管理
⑤住居内の遺品整理
⑥公共料金等の解約精算手続き
⑦住民税や固定資産税の納付手続き
⑧SNS・メールアカウントの削除
⑨車両の廃車手続き、PC・携帯電話の情報抹消手続き
⑩生命保険の手続き
⑪関係者への死亡通知
⑫行政機関発行の資格証明書等返納手続き
など
《預託金》
各種事務の実費や報酬を担保するため、委任者から受託者へ預託金を預入れ
るケースも多いようですが、受任者による横領や解約時に返還を巡ってトラ
ブルになることもあります。
《単独では契約しない》
死後事務委任契約は、文字通り死後の事務を委任するわけですが、そもそも
受任者が委任者の死亡を覚知できないことには始まりません。また、遺言を
する場合には、重複する事項についてこれと矛盾抵触がないよう生前事務委
任契約及び任意後見契約や遺言原案作成(遺言執行者就任を含む)とセット
で交わされることが多いです。
《契約時の留意点》
契約時の留意・確認事項として、以下のような点が挙げられます。
(1)何をどの程度依頼したいのかを明確にする(葬儀の有無・規模など)
(2)遺言をする場合は矛盾抵触のないようにする
(3)費用、報酬
(4)預託金の有無(有が悪いとは一概に言い切れません)
(5)死後事務の履行状況の報告義務の有無
(6)受任者の業界団体(管理指導団体)への加入有無
自治体によっては、優良業者の認証制度を設けているとこもあります。
死後事務委任契約をご検討されている方は、参考にしてください。